2012/12/23

この投稿は Emacs Advent Calendar 2012 の23日目の記事です。

1 追記(2013/08/01)

いつの間にか本家JDEEがCEDET2.0に対応していました。 emacs24.3にはCEDET2.0が最初から導入されているため、CEDETを別途導入する必要はなくなります。 これによりJDEEの導入がグッっと簡単になりました。

そこで最新のemacs24.3対応ということでもう一度記事の内容を整理しました。 特に理由のない限り、最新のemacsとJDEEを利用するのが良いかと思います。

また嬉しいことにJDEE(に代わるJavaの開発環境)の開発(議論)がスタートしているみたいです。 今後に期待しましょう。

2 はじめに

Java開発といえばEclipse一択なこの時代、どれだけ需要があるかわかりませんが、 Emacs中毒な皆さんはできればEclipseなんか使いたくないですよね? 私は使いたくないです(笑)。私もご多分にもれず、なんでもEmacsで済ましたい人になってしまったので、 当然JavaもEmacsで開発したくなります。そこでJDEEの環境を構築しようとしたのですが、 JDEEの開発は停止しているせいか、最新のEmacs23や24だとすんなり動きません。

ならばと、malabar-modeも試したのですが、Maven環境を要求してきますし、 なんだか動作がもっさりな上に(JDEEより重い印象)ところどころエラーがでたりしてうまく動きません。

で、やっぱりJDEEがいいということで、苦労の末、 最近やっとemacsによるJava開発環境(JDEE)が構築できたのでその方法をメモしておきます。

今回は、JDEEの導入方法しか解説しませんが、最終的な私のJava開発環境は以下のとおりです。 今ところantベースのプロジェクトでしか使用しておらず、 Mavenベースのプロジェクトでは動作確認してません。

インポート文の自動生成 JDEE
Javadoc表示 JDEE + w3m
ビルド JDEE + ant
デバッガ JDEE + jdb
REPLぽいもの JDEE(BeanShell)
コードスニペット Yasnippet
タグジャンプ gtags(global)
メソッド補完 helm-jdee-method(拙作)

まだ導入したばかりで検証してないものもあります。 JDEEは「BeanShell(JavaInterpreter) + 大作Elisp拡張」という、 「重い + 重い」の強力タッグです。動作速度については期待しないほうが良いです。 メソッド補完については、Helmで補完するelispを自作しました。

3 必要なもの

JDEEのビルドには下記のものが必要になります。

emacs24.3
emacsは執筆時点の最新のemacs24.3を使用しています。
JDEE-2.4.2
githubに ミラー がありますのでそちらを利用します。
CEDET
CEDETは、24.3同梱のものを使用するので別途用意する必要はありません。
ant-contrib-0.6
ant-contribは、

ant側のライブラリとしてビルド時に必要です。

あとはantの最新版とJDKの最新版を用意しておきます。 また環境変数 JAVA_HOME は必須です。 ちなみに、elib1.0はemacs22以降から組み込みなので必要ありません。

以降では、 ~/site-lisp とういうディレクトリを作成し、 そこに必要なソースコードを展開してビルドすることにします。

~/site-lisp
  |
  +- jdee

ちなみに動作確認は、windows7,windowXP,ubuntu-server上のCUI環境でしています。 実際の構築は、Cygwin+WindowsXPで実施しました。LinuxもMacも大体同じかと思います。

4 JDEEのビルド

ビルドには ant-contrib-0.6 が必要です。ant-contrib-0.6.zipを展開してできた ant-contrib-0.6.jar~/.ant/lib/ ディレクトリに配置しておいてください。 ここでは、~/srcにソースファイル群を展開し、~/site-lisp/jdeeにインストールすことにします。

まずはJDEEモジュールを準備します。

$ cd ~/src
$ git clone https://github.com/emacsmirror/jdee.git

jdeeディレクトリに入り ant confugre を実行してbuild.propertiesを生成します。

$ cd jdee
$ ant configure

build.propertiesを編集します。 cedet.dir, build.bin.emacs を環境に合わせて編集します。

# 絶対パスで記述すること
elib.dir=
prefix.dir=C:/Users/mikio/Dropbox/site-lisp/jdee
cedet.dir=
build.bin.emacs=c:/Users/mikio/apps/emacs-24.3/bin/runemacs.exe

準備ができたらビルドします。

ant

最後に prefix.dir で定義したディレクトリにインストールします。 このときインストール先のディレクトリは無くても勝手に作ってくれます。

ant install

以上で完了です。

5 .emacsの設定

CEDETとJDEEのビルドができたら下記の設定を.emacsに加えます。

(add-to-list 'load-path "~/site-lisp/jdee/lisp")
(load "jde-autoload")

(defun my-jde-mode-hook ()
  (require 'jde)

  (setq jde-build-function 'jde-ant-build) ; ビルドにantを利用する
  (setq jde-ant-read-target t)             ; targetを問い合わせる
  (setq jde-ant-enable-find t)             ; antに-findオプションを指定する(要らないかも)

  ;; complilationバッファを自動的にスクロールさせる
  (setq compilation-ask-about-save nil)
  (setq compilation-scroll-output 'first-error)

  (define-key jde-mode-map (kbd "C-c C-v .") 'jde-complete-minibuf)
  )

(add-hook 'jde-mode-hook 'my-jde-mode-hook)

6 サンプルプロジェクトの準備

ここまで作業できたら、動作確認してみましょう。 JDEEの動作確認用に Javaプロジェクト を準備しました。 といっても私の作ったものではなくて、 java-mode-plus を作成してるskeetoさんの プロジェクト をforkしていくつか追加したものです。 fork前のプロジェクトは、アノテーションを活用してすごくシンプルに書かれた、 すばらしいプロジェクトなのですが、JDEEがアノテーションをサポートしていないため、 わざわざ改悪?して古いライブラリを使用して書きなおしています。 あくまでJDEEの動作確認用のものなので、そのまま使用するときは注意してください。

このプロジェクトはivyを使用しています。ivyとは、antベースのプロジェクトで、 Mavenのリポジトリを利用して必要なjarをダウンロードするモジュールです。

上記サイトから最新版をダウンロードして展開したら、 ivy-2.3.0-rc1.jar~/.ant/lib/ に配置したらインストール完了です。

ivyのインストールが終わったら、サンプルプロジェクトを下記のようにgithubから落してください。

$ git clone https://github.com/mikio/sample-java-project.git

続いてprj.elを自分の環境に合わせて編集します。

(jde-project-file-version "1.0")
(jde-set-variables

 ;; --------------
 ;; project common
 ;; --------------
 '(jde-jdk (quote ("1.7")))
 '(jde-jdk-registry (quote (("1.7" . "c:/Program Files/Java/jdk1.7.0_09/")
                            )))
 '(jde-jdk-doc-url "http://docs.oracle.com/javase/jp/6/api/")
 '(jde-help-docsets '(
                      ;;("JDK API" "file://c:/Users/mikio/Dropbox/java6_ja_apidocs/ja/api" nil)
                      ("JDK API" "http://docs.oracle.com/javase/jp/6/api/" nil)
                      ))
 '(jde-help-use-frames nil)

 ;; --------------
 ;; this project only
 ;; --------------
 '(jde-sourcepath (quote ("./src" "./test")))
 '(jde-global-classpath (quote ("./build/classes" "./build/test" "./lib")))
 '(jde-lib-directory-names '("lib"))
 '(jde-expand-classpath-p t)

 '(jde-build-function (quote jde-ant-build))
 '(jde-ant-enable-find t)
 '(jde-ant-read-target t)
 '(jde-ant-working-directory "./"))

jde-jdkjde-jdk-registry をローカルの環境に合わせて編集してください。

また、今回のサンプルを使用しない場合、下記の変数を自分の環境に合わせて適宜設定すれば、 どの環境でも動くかと思います。

jde-sourcepath .javaの場所
jde-global-classpath .class、.jarの場所
jde-lib-directory-names .jarのあるディレクトリの正規表現

jde-lib-directory-names には *.jar ファイルのあるディクレトリ名を設定します。 今回の場合は、 {PROJECT_ROOT}/lib/ にjarファイルがあるので lib としています。 また、 jde-expand-classpath-p にはtを必ず設定します。 設定しないと、BeanShell起動時に *.jar ファイルがClassPathに設定されません。

7 動作確認してみる

続いてもろもろの動作確認をしていきます。 <PROJECT-ROOT>/src/sample/java/project/SampleJavaProject.java を開いてください。

7.1 BeanShell

おもむろに、 C-c C-v C-k でBeanShellを起動します。 まれにJavaファイルを開いてもJde-modeにならないことがあります。 原因はわからないのですが、もしキーバインドが効かなかった場合は、 手動で M-x jde-mode してから再度、 C-c C-v C-k して下さい。

BeanShellは、JDEEを使用する上でEmacsとJavaの橋渡し的な位置づけにあるようで、 様々な動作の裏で動くみたいです。ただし非常に起動が重いので最初に起動しておくと良いです。 起動をかけると Starting the BeanShell. Pleasewait... のメッセージがミニバッファに表示されるので、 bsh % のプロンプトがでるまで待ちます。コーヒーの一杯でも用意したほうがいいかもです(2回目移行は速い)。

bean-shell.png

BeanShellを起動しておくと、ちょっとしたAPIの挙動を調べるとき便利です。 例えば環境変数 JAVA_HOME を調べるAPIの動作確認をしたい時は、

bsh % System.out.println(System.getenv().get("JAVA_HOME"));
C:\Program Files\Java\jdk1.7.0_09

という風に簡単に確認できます(いちいちSystem.out.printlnしないと結果がわからないですが)。

ちなみに、なにか動作がおかしいな(インポートやメソッドの補完が効かないなど)と思ったら、 このBeanShellを再起動すれば( M-x jde-bsh-exit でBeanShellを終了できる)治ることがあります。 この辺はSLIMEに似てますね。

7.2 依存ライブラリのダウンロード

続いてプロジェクトに必要なjarをリポジトリからローカルにもってきます。 通常は、下記のようにコマンドラインから入力しますが、これをJDEEから操作してみましょう。

$ ant lib

C-c C-v C-b でantを実行できます。 ミニバッファにantのターゲットを求めるプロンプトが表示されるので C-i してください。 ターゲットの一覧が表示されます。

ant-target.png

プロンプトで lib と入力してエンターしてください。

ant-lib.png

無事成功すれば、 <PROJECT_ROOT>/lib に必要なjarファイルがダウンロードされているはずです。

$ ls -la lib
total 26716
drwxr-xr-x+ 1 mikio None       0 Dec 22 11:06 .
drwxr-xr-x+ 1 mikio None       0 Nov 28 23:04 ..
-rwxr-xr-x  1 mikio None   74080 Jan 10  2012 annotations-2.0.0.jar
                  :
                  :
-rwxr-xr-x  1 mikio None  124724 Nov 23  2005 xmlParserAPIs-2.6.2.jar
-rwxr-xr-x  1 mikio None  108874 Nov 16  2006 xom-1.0.jar

7.3 ビルドエラー

つぎにビルドに失敗してエラー表示された時の挙動を試してみましょう。 まず、わざとビルドを失敗させるために、ソース冒頭のimport文を全て削除します。 次に、 C-c C-v C-b RET でビルドしてみてください。

当然エラーが表示されますが、エラーが表示された場合、 M-g M-n, M-g M-p ですばやくジャンプできます。

ant-error.png

7.4 importの自動挿入とビルド

import文を自動挿入するには、 C-c C-v z してください。 通常は、JDEEが自動で必要なクラスをどばっと挿入してくれます。 ただし今回の場合は、候補が複数あるのでCUIによる選択画面が表示されます。 必要なクラスのカッコのところでRETを叩いて選択してください ( org.apache.commons で始まるものを選択してください)。 最後にOKの上でRETで決定です。

import.png

import文の挿入が成功したら C-c C-v C-b でビルドプロンプトを表示し、 何もターゲットを入力せずにエンターしてください。 今度はビルドが成功するはずです。

7.5 APIドキュメントの参照

カーソルをStringのところに合わせて C-c C-v C-w してください。 StringクラスのJavadocがブラウザ上に開きます。 emacserなら当然w3mですよね?ローカルにダウンロードしたAPIを指定すると更に快適です。

javadoc.png

7.6 メソッド補完

C-c C-v . でメソッドの補完ができます。 options. とピリオドまで打ったところで C-c C-v . します。

method.png

ミニバッファに [...] が表示されます。ここで C-i してください。 候補が一覧表示されます。引数も含めて入力してください。 適当なところで C-i しながら候補がひとつに絞りこめたところでエンターすれば、 選んだメソッドを入力できます。これはこれで感動ものですが1 ・・・とっても使いづらいですね。でも安心してください。helm版を作りました。

7.7 メソッド補完(Helm版)

ミニバッファでメソッドを補完する機能は確かに便利ですが、 今となってはこのインターフェイスは古くさいですね。 そこでこの機能をHelmで実現してみました。

今回は時間がなかったので手動インストールですが、そのうちMELPAに登録します。

このelisp拡張はHelmとYasnippetに依存しています (導入してない方はこの機会にインストールすることをお勧めします)。 まずhelm-jdee-moethod.el をロードパスのとおったところに置いて、 今回設定した .emacsmy-jde-mode-hook 関数の冒頭で下記の設定をしてください。

(defun my-jde-mode-hook ()
  (require 'helm-jdee-method) ;; これを追加
  (require 'jde)
  (define-key jde-mode-map (kbd "C-c C-v C-i") 'helm-jdee-method) ;; これを追加
  )

これで例えば、 options. とピリオドまで打ったところで C-c C-v C-i すると、 メソッドの候補一覧がhelmで表示されます。

helm1.png

適当に選ぶとメソッドが挿入されるのですが、Yasnippetで動的にテンプレートを作成しているので、 引数ごとに値を入力できます。引数を入力したらTabで移動してください。

helm2.png

先程のミニバッファ版に比べると、Eclipseのインテリセンス機能みたいで、 なかなか便利なんじゃないでしょうか? また、自前のクラスもBeanShellを再起動すれば補完されますし、 ClassPathさえ正しく設定されてれば、AndroidSDKなんかのAPIも適切に補完してくれると思います (Androidに関して私はまだ試してません。DalvikVMなので駄目かも?)。

ちなみに補完機能をauto-completeにしなかった理由は、メソッド補完がかなり高コストだからです。 これを自動でやると、とてももっさりになってしまうので、 ユーザが必要なときに「よっこらしょ」って感じで利用することを想定しました。

8 操作方法まとめ

ここまでの機能の操作方法をまとめました。

メソッドの補完 C-c C-v .
メソッドの補完(Helm) C-c C-v C-i
ビルド(ant) C-c C-v C-b
BeanShell起動 C-c C-v C-k
BeanShell終了 M-x jde-bsh-exit
prj.elの再読込 M-x jde-load-project-file
自動import C-c C-v z
javadocの表示 C-c C-v C-w

これだけでも大分便利に使えるのではと思います。

これに加えて、デバッガの起動やJunitのファイル単位の実行などが使えれば更に便利だと思いますが、 自分はまだ試していません。

また、これらJDEEの基本機能に加えて、私は、AutoComplete, Yasnippet,Gtagsなどを導入しており、 かなり快適に使えてます3flymakeも試したのですが、動作が重いのでいまのところ常用してません。

9 所感

ここまで紹介しておいてなんですが、JDEEは現在では開発が停止してます。 そのため新しい文法はサポートされてません(アノテーション、ジェネリクス、拡張for文など)。 特にアノテーションを利用したJavaコードだと、Import文などはうまく補完できなかったりします。 個人的には再開を願っているのですが、全然その気配がありません。。。 そんなJDEEとは対象的にCEDETの開発は盛んで、JAVAの対応も結構進んでいるようです (メーリングリストでよく話題をみかけます)。 なので将来的には、JDEEをやめてCEDETメインの環境に移行するかもしれません。

以上、長文をここまで読んで頂いてありがとうございました。

10 参考URL

11 更新履歴

  • 2013/01/15 jde-lib-directory-names の説明が間違っていたため、修正しました。失礼しました。
  • 2013/08/01 本家JDEEがCEDET2.0に対応したので記事も併せて修正しました。

Footnotes:

1

JDEE紹介サイトの多くが、メソッド補完のスクリーンショットにGUIメニュー版を載せていたので、CUIではメソッド補完は使えないものと勘違いしてました。

2

すみません、anything版は作成してません。要望があれば対応するかもです。

3

Yasnippetはnekopさんの定義した Javaのやつ を利用しています。ありがとうございます。

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